まいにちまいにち

日々を摘む。

フレンチとお茶漬け 瀬戸内旅行3日目

「毎日フレンチを食べていたら飽きるから、たまにはお茶漬けを食べたくなる」

うまいこと言ったつもりの浮気の言い訳定番だが、直島と小豆島で泊まった宿はそれぞれ、

まさにフレンチとお茶漬けに例えるべき魅力を持っていた。方向性は違うがどちらもベストホテルだ。

 

◆直島

ベネッセホテルに宿泊してよかったと思うのは、美術館に泊まるという非日常感と景色、

夜23時までギャラリーを見られることなどのほかに、無料で乗れる送迎バスがある。

パーク棟からミュージアム棟の移動は、頼めば迎えに来てくれるらしいし、

宮之浦港~本村地区~ベネッセハウス~地中美術館は19時台まで1時間に数本走っている。

このバスは宿泊者だけのサービスなので混むことはないし、小銭を出す煩わしさもない。

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バスの待ち時間にはライブラリーでコーヒーを(セルフサービスで)飲めて、

オーバル棟に乾燥機付きの洗濯機があるのも、夏の旅行にはありがたかった。

落ち着いた旅行をしたい人なら、敷地内をぶらぶらするだけでも十分楽しめる。

民宿に比べたらかなり割高ではあるが、それだけの価値があると思った。

ビーチ棟から黄色いかぼちゃまでの波打ち際がとても気持ちよかったので、次はビーチ棟に泊まってみたい。

ちなみに今回、オーバル棟にしたのは、専用ケーブルカーに乗りたかったから。

急な斜面を上りながら見る瀬戸内の海は、時間ごとに表情が違って綺麗だった。

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さて朝、チェックアウト後、夕べ暗くて確認できなかったものを探すためにギャラリーへ。

世界中で撮った水平線の写真を瀬戸内海の水平線と同じ位置に見えるように配した

杉本博司作品「タイム・エクスポーズド」を眺め、あと2枚あるという隠し写真を探す。あった。

場所は、これから訪れる人の楽しみのために書かないでおく。

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送迎バスで地中美術館へ。

混んでいたが、前日にホテルで整理券を予約していたのですぐに入れた。

帰りのバスの時間を決めて友人と分かれたり合流したりしつつ鑑賞。

モネの睡蓮の部屋は、オランジュリー美術館を一度見てしまうとアレ以上のものはないが、

これはこれで味わいがある。靴を脱いでひんやりしたタイルを歩くのがよかった。

裸足になるとひとつ心の鎧が脱げる気がする。

一番、印象的だったのは壁に入っていく部屋。これも映画「CUBE」のようだった。

入っていけるアートは身体に刻まれる感じがして好きだ。

 

帰り際にのぞいたカフェからの景色があまりに絶景だったため、一人残ることにした。

地中美術館は電波の入らない場所が多いので注意(危うく無断居残りになるところだった)。

友人Aは高松のイサム・ノグチ庭園美術館へ、友人Bは松山へ旅立った。

Aとは夜に小豆島で落ち合うが、Bとはここでお別れ。

 

地中カフェの一面の窓から眺める夏の海は力強く青かった。

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そして本村地区へ。

昨日知ったのだが、安藤忠雄ミュージアムにご本人が来て講演をするのだ。

早めに行ったので最前列が空いていたが、お腹が弱まっているので出口に近い場所に陣取る。

内容は、直島をアートの島にしようと福武氏に持ちかけられたときから今までの話だった。

生・安藤忠雄の軽快な大阪トークに笑い、頷き、やる気をもらった。

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再びベネッセハウス。夕方の小豆島行きフェリーまで時間があるので、パーク棟でビーチに出るカードキーを借りて、

黄色いかぼちゃまで波打ち際を散歩した。静かで気持ちよかった。

その場にいた人たちと写真を撮りあううち、「生えてみた」ポーズを伝授することになった。

青い海と黄色いかぼちゃ、赤いシャツのコントラストが綺麗だった。

散歩の後はパーク棟のギャラリーを見た。作品数はミュージアム棟よりずっと少ない。

バスの時間まで貸しきり状態のライブラリーでコーヒータイム。

もうすぐ直島とお別れだ。

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芸術祭会期に入った宮之浦港にはステージやテントが設置されてまさにお祭りとなっていた。

人の数も2日前とは比べ物にならないほど増えている。空いているうちに来てよかった。

 

 

◆小豆島

今日やるべきことはあとは宿にたどり着くことだけ。

なのだが、ちょうどいい時間のフェリーは小豆島西側の土庄港行きしかない。

小豆島は全周110キロ以上ある大きな島だ。

宿近くの池田港に着けば送迎してもらえるようなのだが、バスで向かうしかない。

宿に電話すると、バス停から坂道を300メートルほど上るので迎えにきてくれるという。

同じバス停で大きな荷物を持って降りた人がいたので、話しかけて一緒に待った。

男の一人旅で、高松から来たと言っていた。

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泊まるのは、国民宿舎小豆島の洋室。

とても安いので部屋には期待していなかったが、広くて清潔で文句なし。

一切カビの臭いはせず、アレルギー持ちも安心してベッドにもぐりこめる。

何よりここは、どのクチコミを見てもごはんが美味しいと書いてあった。

旅の食事は最重要事項だ。このポイントが合う人との旅は本当に美味しい。いや楽しい。

展望風呂があるのもいい。ひとっ風呂浴び、さっぱりしてビールのことを考えた。

 

合流した友人と飲むビールはとても美味しかったし、食事は地の物尽くし。

レストランの窓2面に広がる夕日は綺麗だし、給仕の女性たちはてきぱきしつつとても感じがいい。

ほろ酔いのぽーっとした頭で、暑いし移動は多いけどなかなかいい旅だな~と思った。

ここはベネッセハウスとは全く違うが、同じくらい魅力的だ。

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いつの間にか旅も後半にさしかかっている。

洗濯してビールを飲んで、明日に備えて早く寝た。